内藤氏は、筑波大学大学院博士後期課程を修了された後、サントリー美術館に8年間勤務、その後に奈良国立博物館に着任されたため、正倉院展では様々な手順や方法の違いに驚きをもったと、その一つ一つを歴史的な理由(慣習)を含めて丁寧にお話くださいました。2008年からはケースの周囲に手すりが設けられたことは記憶に新しいのですが、この手すりとケースの距離35cmはいろいろな体格の方のデータから決定された絶妙な値だそうです。手すりにつかまって顔を近づけて見易いとともに、ぎりぎりガラスにぶつからず安全であり、前の人が手すりにつかまって少しかがんで観ることで、後ろの人も見やすくなるという考えもあるそうです。また、一度出品されたものは10年間は再度観ることができないため、より多くの角度から見ていただきたいと、真下や背面に鏡を設置したり、通常は掛けてあるような面もその中が見えるように傾斜をつけて展示をするといったことも教えていただきました。
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