<公開講座の様子/平成24年9月8日(土)>

『講座名』 楽屋裏から見た正倉院展
『講  師』 内藤 栄 氏 (奈良国立博物館 学芸部)


『講義風景写真』



内藤氏は、筑波大学大学院博士後期課程を修了された後、サントリー美術館に8年間勤務、その後に奈良国立博物館に着任されたため、正倉院展では様々な手順や方法の違いに驚きをもったと、その一つ一つを歴史的な理由(慣習)を含めて丁寧にお話くださいました。2008年からはケースの周囲に手すりが設けられたことは記憶に新しいのですが、この手すりとケースの距離35cmはいろいろな体格の方のデータから決定された絶妙な値だそうです。手すりにつかまって顔を近づけて見易いとともに、ぎりぎりガラスにぶつからず安全であり、前の人が手すりにつかまって少しかがんで観ることで、後ろの人も見やすくなるという考えもあるそうです。また、一度出品されたものは10年間は再度観ることができないため、より多くの角度から見ていただきたいと、真下や背面に鏡を設置したり、通常は掛けてあるような面もその中が見えるように傾斜をつけて展示をするといったことも教えていただきました。


『受講者アンケートより』


・これまで何の予備知識もなく、淡々と正倉院展を見ていましたが、本日のお話しで歴史を含め、多くのことを知ることができて大変有意義でした。
・伝統、技術について、知識継承の重要性、必然性を再認識できました。
・子どもの頃から毎年開かれる「正倉院展」が当たり前のように思っていたのが、今回、歴史をお聞きし、改めて、素晴らしさや保存、開催に当たられた方々のご苦労が忍ばれて、お話しを聞いている途中で、なぜか涙が出そうなくらい感動しました。

 
 作成・管理:奈良女子大学社会連携センター